温度履歴は非常に聞きなれない言葉ですが、さまざまなものが温度が変化した際に何らかの変化を催し、その変化の状態が温度が上昇する状態と加工する状態とでは異なることを指すものです。これは物体の分子構造が温度により変化し、その変化が温度が上昇する際と下降する際とでは温度が異なるために発生するもので、温度変化の記録が残される様になることから温度履歴と呼ばれています。温度履歴を利用することで、さまざまなものの変化を記録することができます。例えば、古くからある水銀式体温計は温度履歴を利用して体温を正確に測定し、かつ伝達することができるとして古くから注目されています。
その原理は水銀の粘性と体温計自体の構造をもって、一度上昇した水銀を外部の力が加わらない限り戻らないようにした工夫に基づくものです。現代では体温計は電子式の物が多いため水銀式を見かけることは少なくなりましたが、その性質は非常に高い効果を生んでいます。さらに最近ではさまざまな面に温度履歴が用いられています。ドライヤーなどに使用されている安全装置もその一つです。
バイメタルと呼ばれるその装置は温度が一定以上になると変形し接続を遮断することで一次的に電流を遮断し機器の過熱を防ぎます。十分に機器が冷えた段階で再度変形し元通りになって電流を接続する為再度作動しますが、切断時と接続時の温度は大きく異なります。このように温度の特性を応用した利用法もあるため、その仕掛けを理解することで効果的に利用することができます。